2010年 06月 25日
残照 |
ひとつ深呼吸をしてから
どちらから聴くべきか悩んだ。
寺尾紗穂の『残照』と『放送禁止歌』。
さあ、どっちだ?
いや、もうどっちでもいい。
残照 / 寺尾紗穂
01. アジアの汗 (Controlled ver.)
02. 雌猫とわたし
03. 山帽子
04. あなたの景色
05. 私が私を嫌いになった帰り道
06. 過ちの第一レーン
07. 蝉路
08. 骨壷
09. 家なき人 (Controlled ver.)
10. 残照
『残照』のケースからCDを取り、デッキに入れた。
もうひとつ深呼吸をしてから
再生ボタンを押した。
メジャー流通での配給を拒否された、
「アジアの汗」のコントロールド・ヴァージョンが冒頭を飾る。
コントロールド、とは、つまり、歌詞の一部が消されている。
アルバム終盤に収録されている「家なき人」も同様で、
彼女が学生時代に、山谷で出会った
男性がモデルになっているという。
この男性は、絵を描くのが趣味だった。
彼女のエッセイ集『愛し、日々』の
「ある絵描きの北京語」でも触れられている。
「アジアの汗」「家なき人」を聴くうちに、
デビュー盤『愛し、日々』に収録されている
「ある絵描きの歌」のことを思い出した。
僕はこの歌が好きだった。
まるで絵本のような展開をみせる歌詞だが
それとは裏腹に、言葉の端々は
やけに現実味を帯びている。
と、僕は思っていた。
そうか、そういうことだったんだな。
放送禁止歌 / 寺尾紗穂
01. アジアの汗 (Uncontrolled ver.)
02. 家なき人 (Uncontrolled ver.)
03. 竹田の子守唄
フィリピンもマレーシアも
あいつらいつもいつも遠くの空眺めてた
アジアの汗しみこんだこの国のビル
だからそうなんだ
ビル硝子が青空映すのは
男性はもうこの世にはいないらしい。
この2曲は挑戦的なのだろうか?
そんなレビューをいくつか読んだ。
放送禁止用語を使った、ということでは
挑戦的かもしれない。
けれど、そうではないと思う。
これは挑戦でも問題定義でもなく
寺尾紗穂がひとりの歌い手として、
ひとりの表現者として、
ただ純粋に歌いたいことだったんじゃないだろうか、と。
いつも以上にまっすぐな歌声は
そういうふうに感じてならない。
アルバムと同タイトルの冊子を特典でもらった。
今回のアルバム制作の経緯、
そして本人からあまり語られることのなかった
父・寺尾次郎のことも書かれている。
『残照』はこの冊子を含めて完結するはずだ。
アルバムはタイトル曲「残照」で幕を閉じる。
曲が終わって、約20秒、無音部分が収録されている。
まるで残り陽のように。
どちらから聴くべきか悩んだ。
寺尾紗穂の『残照』と『放送禁止歌』。
さあ、どっちだ?
いや、もうどっちでもいい。
残照 / 寺尾紗穂
01. アジアの汗 (Controlled ver.)
02. 雌猫とわたし
03. 山帽子
04. あなたの景色
05. 私が私を嫌いになった帰り道
06. 過ちの第一レーン
07. 蝉路
08. 骨壷
09. 家なき人 (Controlled ver.)
10. 残照
『残照』のケースからCDを取り、デッキに入れた。
もうひとつ深呼吸をしてから
再生ボタンを押した。
メジャー流通での配給を拒否された、
「アジアの汗」のコントロールド・ヴァージョンが冒頭を飾る。
コントロールド、とは、つまり、歌詞の一部が消されている。
アルバム終盤に収録されている「家なき人」も同様で、
彼女が学生時代に、山谷で出会った
男性がモデルになっているという。
この男性は、絵を描くのが趣味だった。
彼女のエッセイ集『愛し、日々』の
「ある絵描きの北京語」でも触れられている。
「アジアの汗」「家なき人」を聴くうちに、
デビュー盤『愛し、日々』に収録されている
「ある絵描きの歌」のことを思い出した。
僕はこの歌が好きだった。
まるで絵本のような展開をみせる歌詞だが
それとは裏腹に、言葉の端々は
やけに現実味を帯びている。
と、僕は思っていた。
そうか、そういうことだったんだな。
放送禁止歌 / 寺尾紗穂
01. アジアの汗 (Uncontrolled ver.)
02. 家なき人 (Uncontrolled ver.)
03. 竹田の子守唄
フィリピンもマレーシアも
あいつらいつもいつも遠くの空眺めてた
アジアの汗しみこんだこの国のビル
だからそうなんだ
ビル硝子が青空映すのは
男性はもうこの世にはいないらしい。
この2曲は挑戦的なのだろうか?
そんなレビューをいくつか読んだ。
放送禁止用語を使った、ということでは
挑戦的かもしれない。
けれど、そうではないと思う。
これは挑戦でも問題定義でもなく
寺尾紗穂がひとりの歌い手として、
ひとりの表現者として、
ただ純粋に歌いたいことだったんじゃないだろうか、と。
いつも以上にまっすぐな歌声は
そういうふうに感じてならない。
アルバムと同タイトルの冊子を特典でもらった。
今回のアルバム制作の経緯、
そして本人からあまり語られることのなかった
父・寺尾次郎のことも書かれている。
『残照』はこの冊子を含めて完結するはずだ。
アルバムはタイトル曲「残照」で幕を閉じる。
曲が終わって、約20秒、無音部分が収録されている。
まるで残り陽のように。
by goodtimemusic
| 2010-06-25 19:07